最高にゲスい男女の恋愛&浮気模様『恋の渦』

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劇団ポツドール原作で『モテキ』や『バクマン。』などを手がけた大根仁さんがメガホンをとった映画『恋の渦』(2013年)は、最高にゲスい男女9人の恋愛&浮気模様が描かれていて、見ているこちらも最高なゲスさを堪能できる名作です。

あらすじ

冴えないオサムに女の子を紹介しようと思い鍋パーティーの場を設けた同棲カップルのコウジとトモコ。しかし紹介されたのはルックスがイマイチのユウコで、パーティーは微妙な雰囲気に……。

参加したのは他にコウジの友人のユウタ、ユウタの家に転がり込んでいる地元の友人・タカシ、コウジの弟のナオキと同棲している彼女のサトミ、そしてユウコとトモコと同じショップで働くカオリの9人。
残念な雰囲気でお開きするも、その日を堺にそれぞれが恋愛&浮気にハマり込み渦巻いていくのでした。

登場人物の関係をおさらい

まずは登場人物をおさらいしてみましょう。

鍋パーティーを開いた家の主であるカップル・コウジとトモコ。ここはオラオラ系のコウジが亭主関白でトモコがコウジが耽溺しています。
そして、その弟であるナオキとサトミのカップル。ここもラブラブで同棲中。

キュートなルックスでトモコとユウコの同僚でもあるカオリは、パーティー後タカシからにアプローチを受け交際を承諾するも、実際は交際するつもりがなく彼からの連絡を無視し続けます。
そして、オサムとユウコは、パーティー後から皆に内緒でつきあい始めますが、こちらもかなり亭主関白。我儘なオサムにユウコは振り回されます。

<人物相関図>

・コウジ(サクラのバイト)×トモコ(ショップ店員)→同棲中だけど……※5

・ナオキ(大学生)×サトミ(※4)→同棲中

  ↑(※1)
・カオリ(ショップ店員)←タカシ

  ↑(※3)
・ユウタ

・オサム×ユウコ→(※2)

そんな人物模様ですが、物語の進行と共に明かされていく嘘と秘密について説明していきたいと思います!

ネタバレ

<※1>
ナオキはサトミを深く愛して結婚まで考えていますが、パーティーの日以降カオリと堂々と同棲中の家で浮気をします。浮気をするなら、あえて自宅でしたらバレないという確たる持論を持ち、さらに彼女を深く愛しているからこそカオリともセフレの関係で楽しむことができると豪語するのです。
サトミの妊娠がわかり涙ながらにプロポーズした後も、ニコニコした顔でカオリにそれを報告しセックスを楽しむという徹底ぶり。

<※2>
オサムはパーティーの面々に、ブスを紹介されて気の毒だったと言われたことからユウコとの交際を隠しています。しかし結局、ユウコを怒らせて別れの危機に直面した際、泣いて縋って別れないでくれと懇願するのでした。

<※3>
タカシにアプローチされながらも無視し続けるカオリ。タカシはカオリとキスしたことですっかり彼氏彼女になれたと思い込んでいますが、カオリはタカシの気持ちをノリで軽く弄んだにすぎなかったのです。
そんなタカシと同居するユウタは、実はカオリの元彼。あまりにカオリにハマっているタカシを見ながら過去を言い出せないでいました。そしてユウタはカオリとの復縁を望んで彼女を押し倒すものの……。

<※4>
結局復縁に失敗したユウタが自宅に呼んだデリヘルは、サトミだったのです。しかもサトミは妊娠中。ナオキにはテレアポのバイトと偽っており、妊娠がわかってラストのバイトでした。にっこりと笑い「黙っててもらえますか」とサトミ。ユウタは唖然としながらチェンジするのでした。

<※5>
そして何といってもしたたかなのはトモコです。コウジから精神的なDVを受ける度に「コウちゃんは私の全て、コウちゃんに気に入られることが生きがい」だと泣きながら訴えていたものの、コウジのDVがエスカレートすると、彼とは正反対で真面目なタイプと浮気をして、新しい彼と一緒に別れを持ちかけるのでした。コウジは受け入れるものの、後々泣きながら「自分を改めるから戻ってきてほしい」とトモコに電話をするも受け入れられず。当然と言えば当然ですが、全編に渡ってコウジの居丈高な様子に苛立っていた人にはすっきりとしたエピソードだったのではないでしょうか。

引剥がしたゲスさと本性

人は本来、ゲスい心を持っていても、その対象や影響のあるコミューンや人物には明かしません。全く関係ないところで「実は……」と話して、笑いあったりゲスいエピソードとして楽しんだりするものです。
でも『恋の渦』は映画ですから、その当事者たちのゲスい行動の数々が煮詰められそのまま客観的に見られてしまうのです。
しかも1人分や2人分ではなく、9人分も!

特に大学生であるナオキの恋愛持論については「確かにこういう人はいる」と思いながらも実際自分の恋人や伴侶だったらたまらないなと思わせるリアリティがありました。
彼はサトミを唯一無二の存在とし大事にしながらも、気に入らないことがあると大声を出して威嚇します。セックスフレンドであるカオリに対しては、言葉遣いが柔和なために誤魔化されそうですが、ほぼモノのように扱う態度が顕著です。当事者はそうは感じていないかもしれませんが、客観視すると一目瞭然。彼は優しくて柔和で賢いふりをしながら、自己中心的で今手にしている愛さえ頑なに守れば何をしてもいいと思っている「嫌な男」です。

相手への敬意を欠いた男たちと、恋愛に溺れた女たちの愚かな群像劇ながら、全員が全員、たしかにこの現実に「いるいる!」と思わせるリアリティを持っているために目が離せないおもしろさがあるのです。
そして皆、悪気があんまりないんですよね。だから人間って怖いしおもしろい!

<参考>
映画『恋の渦』2013年  監督:大根仁 原作:劇団ポツドール

(貴崎ダリア / 画像提供・(C)Cinema☆Impact)

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